宮川公園に設置されていた風力発電設備

更新日:2023年10月12日

宮川公園の風力発電

設置者

 この風車は、株式会社三浦風力発電研究所としてNEDOとニチメン株式会社(当時、現在は双日株式会社。以下同じ)が共同で設置・研究してきましたが、平成14年4月からニチメン株式会社の単独事業となりました。現在では、日本風力開発株式会社が所有し、運営しています。

 三浦市は当時の「ソフトエネルギーモデル都市構想」に合致するものとして、宮川公園内への設置に協力しました。

 現在でも、市の基本構想において、地球と人にやさしい都市基盤を目指すこととしており、また第4次三浦市総合計画において、宮川・毘沙門地区周辺を「自然との共生をテーマとする交流ゾーン」としています。この宮川公園風力発電機は温暖化ガスを排出せずに自然エネルギーである風力を利用する新エネルギーの一種であり、現在でも市の方針と合致しているものとして運営に協力しています。

 しかし、老朽化などの要因により日本風力開発株式会社から撤去について申し出があり、本市としても、公園利用者の安全確保の観点からこの申し出を受け入れることにしました。

風力発電設備撤去の日程

風力発電設備の撤去について
年月 内容
平成31年1月 1号機(道路沿い側)の撤去を開始
平成31年2月 2号機(海側)の撤去を開始
平成31年3月 撤去工事及び撤去に伴う土木工事を完了

沿革

沿革の詳細
年月 内容
昭和61年 「ソフトエネルギーモデル都市構想」を神奈川県と策定
平成3年 風況調査実施→年間平均で1秒あたり約5.8メートルを計測
平成6年6月 株式会社アルココーポレーションから風力発電設置の申し出
平成7年8月 通産省資源エネルギー庁(当時)が「風力発電フィールドテスト事業」をシステム設計として選定
平成8年 地元住民・市議会に説明
平成9年3月 風車2基(定格出力400kW2基)を設置(NEDO、ニチメン株式会社及び株式会社アルココーポレーションの共同事業)
平成16年6月 日本風力開発株式会社の子会社である三浦ウィンドパーク株式会社が本風力発電機を買収により取得
平成25年12月 三浦ウィンドパーク株式会社を日本風力開発株式会社が吸収合併

しくみ

 風の力でブレード(翼)をまわし、その回転運動は増幅機で一定の回転数に上げられ、発電機に伝えられて「電気」を起こします。

安全性について

安全性についての説明図

コスト(1999年度実績、新エネルギーガイドブックより(NEDO編)NEDOホームページ発電)

風車設置の一般的なコスト内訳のグラフ

発電量

年度別発電量のグラフ

 2基合計の年間発電量は、風車を設置した平成9年度から2基が停止した平成29年度までのうち、どちらか1基が長期間停止していたことがある年度(注釈1)を除くと、年平均で約112万kWhです。

 これは一般家庭の約250世帯が1年間に消費する電力量を賄えるもの(注釈2)です。発電された電力は、公園内の照明、トイレ及び風車のライトアップ用の電力として利用されていますが、電力が余った場合は隣接する送電線から東京電力株式会社に売電(電気を売ること)していました。

  • (注釈1)平成25年度および平成27年度以降はブレード部品の交換修理等のため、安全確保を最優先として風車を停止していた期間があり、発電量は少なくなっています。
  • (注釈2)世帯あたりの年間の全消費電力量を4,432kWhとしています(出典:平成24年度待機時消費電力調査報告書(財団法人省エネルギーセンター))。

風力発電機導入の課題

 風力発電は、風況により発電量が左右されてしまうため、安定した電力供給が困難とされています。また、火力発電や原子力発電と同等の電力量を得るためには、広大な敷地面積が必要です。
ブレードの回転による風切音、増幅機等の機械音による騒音が発生するため、風況は良好でも居住地域が近接している場合には、導入が困難になることもあります。

ランドマークとしての位置づけ

 城ケ島沖から見ると周辺の風景に溶け込み、午後8時までライトアップされて、夜空に白い風車が浮かびあがります。

 この風車のライトアップ及び園内のトイレで使用する電力は風力発電で賄われています。まさにソフトエネルギー都市の象徴として映ります。

 第4次三浦市総合計画では、この宮川公園周辺を「大地のステージ」と位置づけ、風力発電等のソフトエネルギーを推進していくことを示しています。

 また、同計画における「もてなしの心」をもつ都市を目指すうえで、シティー・セールス・プロモーションの推進として、あらゆる営みに従事する事業者や、企業と市民が相互に協力し合って三浦市のPRに取り組む必要があると目標を掲げています。

 全体の整備にはかなりの時間が掛かると思いますが、風車のある公園として、交流人口を迎え入れ、保養していただく一つの拠点になり、また、文化的・教育的啓発施設として、魅力あふれる公園整備を目指すためのランドマークとしての役割が位置づけられています。

再生可能エネルギーの利用拡大のために

 電気事業者に一定量以上の新エネルギーを利用して得られる電気の利用を義務づけるとともに、新エネルギーの一層の普及を図ることを目的として、「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(RPS法)が平成14年6月に公布・平成15年4月に施行されました。この法律に基づき、平成21年11月から太陽光発電の余剰電力を固定価格による買取制度が開始され、個人住宅での普及に弾みがつきました。

 この後、RPS法に代わり「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(再エネ特措法)が平成23年8月に公布され、再生可能エネルギー発電事業者から一定の期間価格を固定して買い取ることを義務づける、いわゆる固定価格買取制度(FIT)が平成24年7月にスタートし、機器が安価となった太陽光発電を中心に設置が増えました。

 現在では、Fit賦課金による電力料金値上げ問題から買い取り価格が低下したこと、一般電気事業者との接続問題もあり、一時のブームは落ち着きを見せています。今後の利用拡大に当たっては、買い取り価格を市場価格に近付ける等の移行策、天候による発電量の増減や立地の周辺環境との適応策の改善が求められます。

(注意)再エネ特措法に基づくFITの対象とするエネルギーは、RPS法対象の新エネルギー(風力、太陽光、地熱、水力、バイオマスの5種類)が引き継がれています。

用語の説明

  • 新エネルギー…風力発電・太陽光発電・太陽熱利用・バイオマス発電・バイオマス熱利用・バイオマス燃料製造・地熱発電・中小規模水力発電・温度差熱利用・雪氷熱利用の10種類とされています。(新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法)
  • 再生可能エネルギー…非化石エネルギー源のうち、永続的に利用できると認められるもの。具体的には風力、太陽光、地熱、水力、バイオマス、太陽熱、その他の熱の7種類(エネルギー供給事業者による化石エネルギー源の利用および化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律)
  • NEDO…国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
  • kW…電気の力(電力)を表す単位(1kWは1,000W)
  • kWh…発電または消費する電力量を表す単位で、電力に時間(hour)を掛けたもの
  • 風況調査…1年間の風の状況を調査します。一般的に風力発電には地上30メートルの高さで年平均5~6メートル(1秒あたり)以上の風力が必要とされています。

過去の発電実績

月別平均発電量のグラフ
過去の発電実績の詳細(kWh)
年度\月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 合計
平成9年度 27,912 93,384 77,136 120,144 103,632 110,160 75,960 108,984 125,088 106,992 75,360 140,616 1,165,368
平成10年度 125,904 87,624 86,952 61,968 76,032 84,264 73,104 114,048 98,904 82,104 89,352 134,088 1,114,344
平成11年度 127,080 110,952 88,896 147,792 76,248 110,304 101,904 93,288 69,624 49,440 73,584 135,648 1,184,760
平成12年度 110,712 79,800 104,088 119,688 58,248 52,008 62,352 106,128 145,536 115,056 106,416 142,584 1,202,616
平成13年度 124,224 88,032 69,096 92,760 50,904 74,496 96,120 81,312 111,744 88,752 71,016 145,848 1,094,304
平成14年度 130,560 52,224 69,360 148,128 111,216 71,880 100,152 135,144 167,976 93,000 103,176 124,728 1,307,544
平成15年度 170,952 81,216 74,640 53,928 85,728 108,672 117,504 138,768 122,088 95,352 94,176 153,744 1,296,768
平成16年度 150,744 143,976 111,744 84,432 113,208 129,744 123,552 61,512 119,568 110,016 105,504 61,344 1,315,344
平成17年度 77,328 111,744 59,016 55,992 67,128 77,712 107,136 77,328 114,888 86,088 124,488 124,344 1,083,192
平成18年度 100,152 133,416 39,384 63,144 23,904 100,800 88,416 102,480 110,784 66,312 108,096 106,680 1,043,568
平成19年度 101,592 75,888 46,800 36,288 72,384 65,880 48,360 68,832 86,640 87,024 95,088 118,488 903,264
平成20年度 92,904 119,952 61,008 64,704 69,144 51,144 55,536 98,352 123,216 100,536 94,248 139,296 1,070,040
平成21年度 81,809 123,737 60,848 132,293 62,827 70,131 79,782 114,471 122,283 107,990 120,288 158,435 1,234,894
平成22年度 134,832 97,920 98,712 120,336 64,416 83,808 96,314 88,435 127,087 73,771 120,763 80,923 1,187,317
平成23年度 148,860 114,578 74,861 111,038 75,857 74,770 106,411 70,452 92,597 94,142 67,831 107,635 1,139,032
平成24年度 73,390 66,734 70,003 91,826 60,312 56,038 93,497 72,053 105,326 80,558 82,188 119,477 971,402
平成25年度 122,868 64,942 71,750 39,569 0 0 3,084 51,346 49,896 65,304 48,060 85,375 602,194
平成26年度 72,250 96,583 15,864 29,023 70,092 34,757 34,565 44,393 66,362 43,332 58,373 111,516 677,110
平成27年度 85,157 37,949 19,927 104,741 39,432 36,122 43,190 45,384 58,805 49,135 55,241 18,329 593,412
平成28年度 37,236 10,937 6,115 238 35,400 13,142 6,163 33,912 49,939 53,846 48,278 36,384 331,590
平成29年度 60,209 31,298 25,526 0 0 0 0 0 0 0 0 0 117,033
月平均 108,894 98,692 71,083 90,205 73,016 79,798 85,921 92,705 112,336 87,086 93,526 123,847 1,117,110

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この記事に関するお問い合わせ先

三浦市役所 都市環境部 環境課
電話番号:046-882-1111(内線289・296・297・298)
ファックス番号:046-881-0148

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